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「GMOブロックチェーン オープンソース提供プロジェクト」開始
第1弾は「医療機関カルテ共有システム」を提供
GMOインターネット株式会社(以下、GMOインターネット)は、ブロックチェーンを利用したプログラムをオープンソースとして公開する「GMOブロックチェーン オープンソース提供プロジェクト(以下、GMOブロックチェーンOSS)」を立ち上げ、その取り組みの第1弾として、本日2017年7月20日(木)より「医療機関カルテ共有システム」のオープンソース(URL:https://guide.blockchain.z.com/ja/docs/oss/medical-record/)の提供を開始いたしました。
「医療機関カルテ共有システム」は、これまで病院や薬局ごとに分散していた患者ユーザーの電子カルテや処方箋データ等の情報について、ユーザーが自らの意志で、医療機関に情報の閲覧・書き込み権限を与えることができるシステムです。本システムが実現すれば、必要なタイミングで適切に医療情報を共有可能となるため、ユーザーに権限を与えられた病院の医師は、病院内の端末から患者本人の過去の病歴やアレルギー、服用している薬などを的確に把握でき、診療にお役立ていただけます。
▼「医療機関カルテ共有システム」の実現イメージ
【「GMOブロックチェーンOSS」について】
ブロックチェーンは、仮想通貨の一つであるビットコインの中核技術として考案された、データを複数のコンピューターに分散して記録・保持する技術です。「改ざんできない」「消えない」「停止しないゼロダウンタイム」システムを低コストで実現できることから、近年大きな注目が集まっています。
GMOインターネットでは、20年以上に渡ってインターネットインフラサービスを運用してきたノウハウを活かし、ブロックチェーン技術を用いた開発を進めており、2016年12月には、ブロックチェーン上に簡単に分散型アプリケーションを構築できる「Z.com Cloudブロックチェーン」および「ConoHaブロックチェーン」のβ版を提供開始しています(※1)。実際に「Z.com Cloudブロックチェーン」を基盤とした「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」のシステムも実現しています(※2)。
GMOインターネットは、こうした研究開発で得た知見をもとに、ブロックチェーン技術を活用した新しいサービスの実現・普及を図るべく、実サービス展開が可能なプログラムをオープンソース(改変可能・商用可能ライセンス)で公開する「GMOブロックチェーンOSS」を立ち上げました。
この度第1弾として、「Z.com Cloudブロックチェーン」を基盤に「医療機関カルテ共有システム」を構築し、本日よりオープンソースの提供を開始いたしました。これを皮切りに、今後も様々なニーズに沿ったオープンソースプログラムを定期的に公開してまいります。
(※1) 参考:https://www.gmo.jp/news/article/?id=5540https://www.gmo.jp/news/article/?id=5540
(※2) GMOグローバルサイン株式会社、株式会社セゾン情報システムズとの共同開発。
参考:https://www.gmo.jp/news/article/?id=5542
【「医療機関カルテ共有システム」の仕組み】
■オープンソース公開ページ URL:https://guide.blockchain.z.com/ja/docs/oss/medical-record/ |
「医療機関カルテ共有システム」は、病院の電子カルテや薬局の処方箋データなど、これまで医療機関ごとに分散されていた情報を、患者ユ―ザー本人が権限を与えた医療機関内で共有閲覧・書き込み可能となるシステムです。
この度提供するオープンソースを使用して本システムが実サービス化し、導入する医療機関が全国的に拡大していくことで、例えば旅先での急病によりユーザーが初めてかかる病院でも、ユーザーが権限を付与すれば、医師が病院内の端末からユーザーの過去の病歴やアレルギー、服用している薬などを的確かつ速やかに把握可能となり、診療に役立てることができます。
■ブロックチェーンで実現する理由
従来、こうしたセキュアな情報へのアクセス制御・許可を適切に行うためには、その真正性を保証する公正な第三者機関による管理・検証が必要とされてきました。この第三者機関による管理・検証は、個人や組織の信頼に基づいた労働集約型の手法で行われており、人的リソースが必要となるだけでなく、その仕組みの構築・維持に金銭的コストがかかることが一般的でした。
しかし、ブロックチェーンであれば、プログラム(コード)によってルールを規定することで、そのルールに則った処理を自動化できるため、第三者機関の介在なく手続きを的確に執行できます。この検証の仕組みは、ブロックチェーンに本質的に備わっている機能です。
このように、従来第三者機関が担ってきた役割をブロックチェーンに移し、プログラムで機械的かつ永続的に動作し続ける仕組みを構築することで、人的・金銭的コストを大幅に削減できると考えます。
■「Z.com Cloudブロックチェーン」だからできること
1. 情報公開制限(アクセスコントロール) |
ブロックチェーンでは、そこに書き込まれた情報に不正な改ざんが行われていないことを保証するために、記録された情報がオープンであるという特徴がある一方、そのままでは個人情報や機密情報も公開されてしまうといった課題がありました。 「Z.com Cloudブロックチェーン」では、ブロックチェーンとは別に、機密情報を保管するデータストアデータ格納領域を設置することで、データストア内へのアクセスコントロールができる機能を備えているため、情報の公開制限を行うことができます。これにより、ユーザーの電子カルテや処方箋データなどの機密情報は、アクセス権限を与えられた医療機関かつ、鍵を保有する端末だけが閲覧・書き込みできる環境が実現できます。 |
2. 利用者の費用を負担(代払い) |
ブロックチェーンでは、「AさんがB病院に権限を付与した」「C医師がDさんの電子カルテを記録した」といった行動履歴データも全て記録され、こうした履歴データの記録時には、記録した行動した本人に仮想通貨による費用の支払いが求められます。しかし、一般のユーザーや医療従事者が、利用端末に仮想通貨を保有しておくことはまだ一般的とは言えず、 サービスの利用が敬遠されかねません。 「Z.com Cloudブロックチェーン」では、ブロックチェーンへの記録にかかる費用をサービス提供者が代払いする機能を用意しているため、利用者は都度仮想通貨による支払いの必要なく、システムを利用することができます。 |
<患者(ユーザー)の利用フロー(※3)>
①ユーザーのモバイル端末から、利用開始画面にアクセスし、端末内で固有の鍵を自動生成
②本システムを導入している医療機関に設置されたQRコードを読み取り、医療機関のアドレスを取得
③医療機関へのアクセス権限付与をブロックチェーン上に記録
(※3)「医療機関カルテ共有システム」のオープンソースプログラムをそのまま使用した場合のフローイメージです。
実際にサービスで使用する際は、よりセキュアに鍵を管理する工夫などが必要となります。
<医療機関のシステム導入フロー>
①医療機関の端末から、利用開始画面にアクセスし、医療機関固有のマスターキーを自動生成
②医療機関マスターキーをブロックチェーン上に記録
③医療従事者の利用端末ごとに固有の鍵を生成
④マスターキーによる承認後、医療従事者の利用端末をブロックチェーン上に記録
<Z.com Cloud サービス>
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